不正咬合が酷く抜歯が必要な場合は、インビザラインでは矯正治療できない…とインビザラインは非抜歯で行う矯正治療と認識されている方も多いのではないでしょうか。確かに、インビザラインによる矯正治療は可能な限り、抜歯をせずに矯正治療を行います。それは奥歯を後方に動かしたり、顎の横幅を広げたり、歯と歯の隙間を作ることで歯を並べることが出来るため、抜歯をしなくても、歯を並べるスペースを確保する方法があるからです。
しかし抜歯をしたほうがいいケースも、もちろんあります。歯の突出している方向や位置に問題があるケースの場合、抜歯をした方がいいと判断した際には、抜歯矯正を勧めることがあります。
どうしてインビザラインで抜歯矯正ができるの?
矯正治療では、歯を移動させるスペースを確保したり、口元の突出感を軽減させるために抜歯を行うケースも少なくありません。歯が顎の大きさに比べて大きかったり、歯が突出している位置や方向に問題がある場合が多いです。
皆様も周知の通り、従来ではマウスピース型の矯正装置は抜歯症例には不向きとされていましたが、第一小臼歯を抜歯する矯正に対応した、「インビザラインG6」の誕生で、抜歯を伴う症例にも対応による治療も行われるようになりました。
インビザラインG6の特徴は、抜歯した部分を利用し、歯を移動する際移動した歯が倒れんでしまうのを防ぎ、歯が正しく移動できるサポートの為のアタッチメントが加わり、奥歯にも奥歯が前方へ移動してしまわないように工夫されています。
またマウスピースの材質も、現在のインビザラインのアライナー(マウスピース)の素材はポリウレタンから作られた、スマートトラックと呼ばれる素材から出来ています。ポリウレタンとは、プラスティック素材から作られており、日常の様々な製品で使用されている非常に身近なものです。従来のアライナー素材と比べると、歯をより正確に移動させることができ、装着感や審美性にも優れています。
従来の素材では、ガタガタした重度の叢生の治療の際、アライナーの取り外しに苦労する患者さまが多くいましたが、スマートトラックは柔軟性に優れているため、アライナーの着脱がより簡単に出来るようになりました。高い粘弾性を持ち、より持続的、且つ密着して歯に力を加え移動をコントロールすることができるため、抜歯をしたスペースを埋めるように歯を動かすことが可能なのです。
抜歯が必要かどうかは、歯のガタガタの程度だけでなく、現在の口腔内の状態と患者さまの希望の仕上がりと照らし合わせながら決定します。抜歯をする歯は、基本的に第一小臼歯、もしくは第二小臼歯です。小臼歯には上下の噛み合わせのポジションを保つ役割がありますが、どちらかを抜いても小臼歯の役割として、噛み合わせに大きな影響はないものとされています。
また、虫歯の治療などで大きな金属がすでに装着されている場合は、その歯を抜歯して、虫歯のない健康な歯を残すこともあります。