歯の神経をとるとどうなる?

虫歯が進行し、歯の神経まで虫歯が到達してしまうと、「神経を抜く」という治療が施されます。
歯の神経を抜くとどうなるのか、どんな影響があるのかについてご紹介します。

歯の構造

歯は大きく2つに分けると、物を噛んだりする歯肉より上の部分の「歯冠(シカン)」という部分と、歯肉に埋まっている下の部分の「歯根(シコン)」に分けられ、構成されています。歯冠部は、食べ物を噛んだりするため丈夫に作られており、歯の表面を覆うエナメル質、歯冠部と歯根部まで歯の中心となる象牙質、歯根部の象牙質を覆い顎の骨との繋ぎ目を担うセメント質、歯の神経である歯髄(シズイ)から構成されており、歯根部は歯肉や歯根膜、歯を支える顎の骨である歯槽骨から構成されています。

歯の神経を抜くとどうなる?

前章でご紹介した通り、歯の神経とは歯髄のことで、神経を抜くことを正式名称で「抜髄(ばつずい)」と言います。歯髄には細かい血管や神経がたくさん通っており、歯がしみたり、痛みを感じるのは歯髄から脳へ伝達されているためです。歯ごたえは歯髄ではなく、歯の根元の周りにある受容帯が感じているため、神経を抜いても、歯ごたえを感じることは出来ますが、歯の神経を取ってしまうと、痛みなどの知覚を全く感じなくなります。歯がしみたり、痛みを感じたりしなくなると、幾分ラッキーなのでは?と思われがちですが、歯の痛みを感じなくなることで、神経を抜いた歯が再び虫歯になってしまってもなかなか気付きにくく、虫歯がかなり進行してから気付くことも多いようです。

また歯に穴を開けて神経を抜き取るということは、栄養や酸素の供給源が断たれ、「枯れ木」のような状態になります。結果、歯が脆くなり、歯の寿命も短くなります。さらに歯のツヤが失われ、黒褐色に変色する場合も多くあります。

神経はどのような場合に抜くのか

神経を抜いて、歯の内部をきれいにする一連の治療を「根管治療(こんかんちりょう)」と呼びます。根管治療で大切なことは、根管内にいる細菌を可能な限り消毒し、根管内への新たな細菌の侵入を防ぐことです。根管治療は以下の病状の場合に行われ、歯科治療の分野において大きな割合を占めると言われています。

歯髄炎

虫歯の進行度はCO(シーオー)からC4の5段階で判断されます。COからC2の段階であれば神経を保存できますが、C3の段階は、象牙質も突破し歯髄にまで到達している状況であることを指します。歯髄が炎症を起こしている状態を「歯髄炎」といい、冷たいものや温かいものがしみたり、何もしなくても鈍い痛みを感じることがあるなどの症状が現れ、夜眠れなくなることもあります。歯髄炎は炎症が治まり、元の正常な状態に回復する場合、抜髄の必要はありませんが、正常な状態に回復しない場合は抜髄が必要になります。

歯髄壊死(しずいえし)

歯髄炎を放置しておくと、やがて歯髄壊死となります。壊死とは、組織や細胞が死ぬことを言い、歯髄壊死は歯髄が死んでしまうことです。症状は、冷たいものや温かいものなどの刺激による痛みは感じなくなり、歯の色が変わってくるでしょう。外傷により脱臼した歯も歯髄壊死となることもあります。

根尖性歯周炎(こんせんせいしししゅうえん)

歯茎の先端まで炎症が進行すると膿が溜まり「根尖性歯周炎」と呼ばれる状態になります。歯槽骨が溶けて破壊されるため、激しい痛みが生じて歯肉や顎が腫れるなどの症状も現れ、さらに炎症が進行すると、歯根の先端に溜まった膿が歯肉にできた穴から口腔内に出てきたり、皮膚に穴ができて膿が外へ出てくる場合があります。レントゲンを撮ると、根尖部にレントゲン透過像が確認出来るようになり、根尖病変とも呼ばれます。虫歯を放置して根尖性歯周炎にまで発展するケースもありますが、頻度としては、一度根管治療を行なった歯が根尖性歯周炎となっているケースが多いと言われています。

重度の知覚過敏

知覚過敏は、冷たいものや甘いものを食べたり、歯ブラシが当たったときに痛みを感じる症状が現れます。ほかの治療で改善が見られなかった場合に根管治療が行われます。

歯の亀裂

外傷などで歯が割れてしまい、神経の通っているところまで亀裂が入った場合は、内部を無菌化する必要があるため、根管治療が行われます。その他にも、歯を抜いて他の場所に移植手術を行う際も、神経を抜いて内部を無菌化する必要があります。

根管治療はどのように行われるのか

根管治療は虫歯や古い詰め物を除去し、神経を露出させ、器具を使って神経を取り除きます。その後「根管拡大」と言い、複数の細く曲がりくねった根管を太くまっすぐな1本の根管に整えていきます。根管を拡大したら、根管内部を洗浄し、最後に薬を詰める「根管充填」という治療が施されます。根管治療はミクロ単位で行うため医師の熟練が要される治療の一つと言えるでしょう。中には、神経の取り残しがあったり、治療中に歯に何らかのダメージがあった場合、時間が経ってから痛み出すケースも考えられます。痛みに気づいたら、早めに歯科医院を受診し相談してください。重度の虫歯になると、歯の神経を抜く必要があり、神経を失った歯は、脆くなり、歯の寿命も短くなります。さらに将来的に抜歯に至る確率がグンと上がります。

健康なお口は、心身の健康に繋がっているため、健康なお口を保つためにも、虫歯の早期発見・治療を行うことが望ましいです。虫歯の早期発見は、歯科医院でのプロによる歯のクリーニングや定期検診を行うことで見つけることができます。痛みなどがなくても、健康維持のために歯科医院を受診されてはいかがでしょうか。

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