二重歯列の原因と治療法

Contents

二重歯列とは

二重歯列とは、歯がデコボコに生えてしまうことで二重に重なって生えている状態で、「叢生」という不正咬合(悪い歯並び)です。口を大きく開けたり笑うときに目立ってしまうため、コンプレックスに感じてしまう方も多くいらっしゃいます。

二重歯列の原因

顎が小さい

日本人はもともと顎が小さい傾向にあるため、歯が並ぶスペースが足りない場合が多いので、歯が正しい位置に並ぶことができず、二重歯列のように重なって生えてしまうのです。

顎の大きさに対して歯が大きい

顎の大きさが通常の大きさだとしても、歯が通常よりも大きいと歯が並ぶスペースが足りなくなってしまうため、二重歯列になりやすいのです。

乳歯から永久歯への生えかわりがうまくいかなかった

乳歯と永久歯が歯列に同時に存在する時期を、混合歯列期といいます。通常、永久歯は乳歯の下に埋まっており、永久歯が発育するとその周囲に歯を分解する「破歯細胞」が出現します。この破歯細胞は、乳歯の歯根をゆっくりと溶かしていき、永久歯が歯茎からでてくる頃には、乳歯の歯根は溶かされているため、乳歯は自然に抜け落ちます。しかし、永久歯と乳歯に距離があることで乳歯の歯根が溶けきらなかった場合、乳歯は抜けずに残ってしまいます。それによって生える場所がない永久歯は、乳歯のすぐ後ろに生えてしまうのです。一般的には、永久歯は舌によって後ろから押され、前にある乳歯を押し出すことで乳歯は抜け落ちるのですが、乳歯がそのまま残ってしまう場合もあり、その際は歯科医院などで抜歯をしなければなりません。このときに抜歯しておかないと、大人になっても残ったままになってしまう場合があります。

虫歯で乳歯が早く抜けてしまう

虫歯などが原因で、乳歯が予定より早く抜けてしまうことがあり、それが原因で不正咬合になることがあります。永久歯が生えてくるまでの間はスペースとなってしまうため、周辺の歯が倒れてきてしまうことで、永久歯が生えてきたときに並ぶスペースがなくなってしまい、二重歯列になる場合があります。

指しゃぶりや爪を噛むといった悪い癖

指しゃぶりをすることで、指で前歯を押してしまうので、歯並びが悪くなり二重歯列になってしまうことがあります。また、爪を噛む癖や、唇を噛む癖も、同様に歯並びが悪くなる原因になります。

二重歯列の治療法

ブラケット矯正

一般的な歯列矯正治療のブラケット矯正は、歯の表面にブラケットという装置を装着し、ワイヤーを通して力を加えて引っ張ることで歯を移動させます。適応症例が多く、効果的に歯を動かすことができるため、前歯だけでなく奥歯の歯並びもキレイに改善できます。

ただし、金属のワイヤーが目立つため、見た目が気になってしまい治療に踏み出せない方もいらっしゃいます。その場合は、セラミックなどの透明な素材のブラケットを用いることで、多少見た目が改善されます。

もしも、より目立たないブラケット治療を希望される場合は、歯の裏側にブラケットを装着して歯を動かしていく舌側矯正(リンガル矯正)があります。舌側矯正は、裏側に装置があるため慣れるまでは舌に当たりやすいので、違和感や痛みが生じることもありますが、表側から矯正装置が見えないため、周囲に矯正治療をしていることが気付かれにくい矯正方法です。

マウスピース型矯正

透明なマウスピース型の装置を歯に装着して、定期的に動いた歯に合わせて新しいマウスピースと交換していくことで歯を動かしていく矯正治療です。装置が透明で、歯にフィットしているため見た目が気になりません。さらに、ご自身で取り外すことができるため、食事や歯磨きも外すことで普段通りにおこなうことができます。従来のマウスピース型矯正は、二重歯列などの不正咬合は最初からマウスピース型矯正をすることは難しいとされていました。しかし、近年のマウスピース型矯正のシステムは、様々な症例に対応できるようになっているため、二重歯列の治療もおこなうことが可能な場合もあります。

マウスピース型矯正の中でも、特にインビザラインは、専用の口腔内スキャナー「iTero element」によって口腔内データを得ることができ、「クリンチェック」というシミュレーションソフトを使用して、事前に3Dコンピューターシミュレーションをおこない、歯の動く過程や治療後の歯並びを確認することが可能です。事前にシミュレーションをおこなうことによって、正確な治療計画を立てることができます。

事前に抜歯が必要なこともある

場合によっては、二重歯列を治療するために抜歯が必要になることがあります。主に、歯を並べるための十分なスペースがない場合や、顎の大きさと歯の大きさがアンバランスな場合、矯正治療によって歯を並べたときに口元が出てしまう可能性がある場合、歯並びを整えた際に上下の噛み合わせが悪くなる場合は、抜歯が必要となることが多いです。ただし、抜歯をする歯はどの歯でも良いというわけではなく、虫歯や状態の悪い歯などが優先的に抜かれます。基本的には、第二小臼歯(前から5番目の歯)を抜歯します。

おすすめの記事