虫歯を放置すると死の原因になる?

自分の歯に虫歯があるとわかっていても、なかなか歯医者へ行く時間が取れなかったり、そんなに痛みを感じない初期の段階であれば歯医者へ行くのを先延ばしにしてしまうことはありませんか?しかし歯と身体の関係は直結しています。虫歯菌は知らない間に、体の中の違う場所へ運ばれてしまい、思わぬ病気に見舞われるケースも珍しくありません。

今回は虫歯を放置したらどうなるのか、ご紹介します。

虫歯を放置したらどうなる?

虫歯は神経にまで到達し、神経が死んでしまうと痛みはピークを超え、虫歯の存在も痛みも気にならなくなってきます。気が付けば何年も放置していた、といったケースは歯科においてもめずらしくありません。しかしたとえ痛みが消えたとしても、虫歯の原因である細菌が消えるたわけではなく、口臭も強くなります。まずは虫歯を放置しておくと、どのようなトラブルが起こり得るのかをご紹介します。

虫歯は大きく分けて4つの段階に分かれます。

LCO

LCOとは最初期の虫歯の段階であることを指します。

歯の表面のみが脱灰している状態で、健康な歯と違い、表面の色がまだらに白色っぽくなり透明感がなくなり、脱灰が進むと、黄色や茶色っぽく歯の色が変化していきます。まだ歯に穴ができていない状態のため、再石灰化で元の健康な歯に戻ることが可能と考え、歯磨きなどセルフケアをしっかりと行うことで改善することが多いと言えるでしょう。

LC1

LC1とは初期段階の虫歯を指します。歯の表層のエナメル質に虫歯菌が侵入し、歯に穴を作り出している状態です。まだこの段階で症状は出にくいため、虫歯に気付きにくいでしょう。歯の溝が茶色くなったりすることで、小さな穴に汚れが付着しやすくなり、虫歯が進行します。初期の段階であれば、フッ素治療で進行を防ぐことが可能であるため、削らずに経過観察をすることもありますが、既に穴が出来てしまっている場合には、虫歯の部分を染め出して虫歯を除去し、穴をプラスチックの材料などで詰める治療を行う場合もあります。

LC2

LC2とは虫歯菌がエナメル質から象牙質にまで進行した状態をいい、中程度段階の虫歯であることを指します。象牙質はエナメル質より柔らかいため、虫歯が進行するスピードが早く、歯の中がスカスカの柔らかい状態になってしまうため、歯の中が黒く透けて見えたりします。この段階まで進行すると、やがて冷たいものや甘いものでしみたり、虫歯の穴の中に食べ物が詰まり痛みを感じるようになるでしょう。固いものを噛むと虫歯の穴に当たり、激痛で噛めなくなることも珍しくなく、虫歯の穴に汚れが溜まるので、口臭の原因にもなります。

この段階の治療は、虫歯部分を染め出して、虫歯部分をすべて取り除き、神経に近い象牙質まで虫歯が到達している場合は、削る刺激や水などがしみるので、麻酔を用いた治療が施されます。残る歯質の量によって対処が変わり、プラスチックの材料で詰めるだけであったり、被せ物をしたりします。

LC3

LC3とは象牙質から歯の神経まで虫歯が進行している状態で、後期の虫歯の症状であることを指します。

歯髄(歯の神経)まで虫歯が進行すると歯髄炎を起こし、冷たいものを飲むだけで数秒の間、強い痛みが続くようになります。また何もしていなくてもズキズキと眠れないような痛み(自発痛)がでてくるでしょう。虫歯菌に感染してしまった歯髄は腐敗していくので、神経をきれいに取り除かなければいけなくなり、残っている自然な歯の量が少ないため、歯の根に土台を立て、土台を覆うような被せ物(差し歯)をしないといけなくなります。保険治療で行うのであれば奥歯は銀歯になってしまうので、目立たない白い歯を希望される場合は保険適用外となり費用が高額になります。

LC4

LC4とは歯の形が崩壊してしまうほど虫歯が進行している状態で、重度の虫歯であることを指します。歯の形が崩壊し、神経が死んでしまっているので、しみたり痛んだりしなくなります。

歯の根だけがかろうじて残っており、食事をしても食べ物を噛み切ることができない上に、噛み合っていた歯が伸びてしまったりすることから、歯並びや噛み合わせも変化してしまうこともあるでしょう。また歯や歯茎から膿が出てくることもあります。歯の根まで虫歯になっていると、残っている歯が少なすぎて土台を立てたり被せ物ができなくなるため、抜歯をしてインプラントを入れたり、入れ歯にしたり、隣の歯を削ってブリッジにするなど、抜いた部分を補うための補綴(ほてつ)治療が施されます。

虫歯を放置して死に至る?!

「たかが虫歯・・・」「歯医者に抵抗がある・・・」「痛みが治まってきた・・・」と虫歯を放置し、のちに命を落とし兼ねないと考えたことはありますか?実際江戸時代には、虫歯が死因の上位を占めていたと言われています。

また実際に、2011年には、アメリカで24歳の男性が親知らずの虫歯を放置し、虫歯菌が脳に達してしまい死亡したケースや、2013年に、イタリアに住む18歳の女性が虫歯を放置した結果、敗血症にかかり死亡したケースが存在します。このイタリアに住む18歳の女性が敗血症のため死亡した原因は、歯の炎症が肺に転移したことが原因だったようです。虫歯の痛みを放置した結果、口腔内細菌が血液を介して全身に行きわたり、やがて免疫力を低下させ、血液自体も腐らせてしまうという事実を物語っています。前章でも紹介した通り、虫歯を放っておくと、虫歯菌はどんどん病巣を拡大していきます。やがて顎の中で化膿が拡がり、顎骨の内部はスポンジ状の柔らかい組織でできているため、ここで菌が広がると骨が腐り始める(骨髄炎)場合があります。骨髄には血液が豊富に通っているため、この頃になると血液に虫歯菌が混じり、血液を介し全身に虫歯菌が運ばれるようになります(菌血症)。

しかし血液中には免疫機能を担う白血球が存在するため、通常は菌が侵入してきても感染が広がることはありませんが、糖尿病などの基礎疾患があったり、栄養不足、疲労などにより免疫力が低下していると、白血球による防御が十分にされず、菌が心臓に到達してしまうことがあります。心臓内部で広がって炎症を起こすと感染性心内膜炎や、脳に到達すれば脳膿瘍など、命に関わる病状をきたしたケースが報告されています。虫歯以外に、歯周病や親知らずの化膿を放置した場合にも、このような死に至るケースは報告されています。

万が一、虫歯ができても、早い段階で発見・治療ができれば、痛みも少なく、時間も費用も最小限に抑えることができます。虫歯を早期発見するためにも数ヶ月に1度の定期検診を是非受けてみてはいかがでしょうか。

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