歯の生え変わり(乳歯と永久歯)

身体の成長とともにアゴも成長し、6歳頃から12歳頃にかけて乳歯から永久歯へ生え変わります。生え始めたばかりの歯は未完成で、永久歯より柔らかく、酸に溶けやすいため、虫歯になりやすいです。歯の根が完成するまでには、生えてから2~3年かかります。そして永久歯は身体の中で一番硬く、永久歯が生え揃うと噛む力が強くなり色々な食べ物を上手に食べられるようになります。

親知らずと言われている第3大臼歯は生えてこない人もいますが、17歳頃から21歳頃に生えることが多く、最も遅い時期に生えてきます。乳歯のもとになる歯胚は妊娠7~10週目に作られ、永久歯の中で最も早く生えてくる第一大臼歯や前歯は妊娠3~5ヶ月頃に歯胚ができます。生え変わりが始まる6歳頃には、あごの中で永久歯が生える準備をしています。

永久歯へ生えかわる仕組み

乳歯から永久歯へ生え変わる経験は皆様にあると思います。では、どのようにして歯が永久歯へと生え変わっていくのかをご紹介したいと思います。

まず、乳歯の下で永久歯のもとになる歯胚ができ、時間をかけて成長していきます。

そして永久歯の歯冠部が完成し、歯の根の部分が作られ始めると、乳歯の根を溶かす細胞が現れ、永久歯の上にある乳歯の根は少しずつ溶かされていきます。乳歯の根が溶けていくと、乳歯はグラグラになり抜け落ち、永久歯が出てきます。

永久歯はまず「六歳臼歯」から生えはじめ、次に前歯から奥歯に向かって順番に生えかわります。11~13歳になると、六歳臼歯の奥に第2大臼歯が生えてきて、最終的にすべての永久歯が生えそろうのは13~14歳頃が目安となります。生え変わる順番や時期には個人差がありますので、1~2年の多少のズレは、とくに心配することはありません。

乳歯と永久歯の違いについてですが、歯のしくみはほとんど同じです。とは言え、永久歯は一生涯毎日使うものなので、それだけ丈夫に作られています。しかし、丈夫な永久歯とはいえども、生えてからおおよそ2年くらいの間はまだ弱く、表面もまだ粗いため、汚れが付着しやすいです。それだけでなく、乳歯同様に酸にも溶けやすいので、虫歯にもなりやすい状態にあるので注意が必要です。なので、早い時期からフッ素を活用するなどして、積極的に虫歯予防を心がけましょう。いずれ永久歯に生え変わるからといって乳歯の虫歯を放置したりすると、その後に生えてくる永久歯の歯の質であったり、歯並びに悪い影響を及ぼします。乳歯の頃から虫歯予防および治療はしっかりと行っていただいた方が良いでしょう。

そのほかにも「色」「大きさ」「歯質」が違います。色の違いは、乳歯は白に近いのに比べ、永久歯は黄色味を帯びています。そして乳歯の方が永久歯より全体的にひと回りほど小さいです。そして歯質は乳歯のエナメル質・象牙質の厚みは永久歯の半分程度と薄く出来ており、乳歯は永久歯にくらべ石灰化が不十分であるという違いがあります。

永久歯のエナメル質や象牙質の厚みをはかってみると、乳歯の約2倍もあります。また、数も乳歯は20本だったのが、永久歯になると親知らずも含めて32本に。永久歯と乳歯はこれだけ大きく異なるのです。

また、永久歯が生えてきても、乳歯が抜けなかったり、歯肉炎が起きたりしていることが多くあります。日頃からお口の中をよく観察して、何か問題があったら歯科医院に相談されることをお勧めいたします。

生え変わり期の虫歯や歯肉炎

乳歯から永久歯へ生え変わる時期には、虫歯や歯肉炎になってしまうお子様が多くいらっしゃいます。虫歯になりやすい理由として、乳歯と永久歯が混在して、歯を磨きにくいのが要因の一つと考えられます。乳歯と永久歯が入り混じり、歯が抜けている部分もあったりすると、歯は磨きにくく、特に一番最初に生え変わる奥歯の六歳臼歯は、完全に生えそろうまで手前の乳歯より背が低く、ハブラシが届きに炒め、どうしても磨き残しが多くなってしまいます。その上、永久歯であっても生え始めの歯はエナメル質が弱く、酸にも弱いため虫歯になりやすいという特徴があります。さらに一度虫歯になると穴があくまでの進行も早いので、注意が必要です。

虫歯になってしまうだいたいの原因は、「歯垢」と「砂糖」です。食事をした後、歯みがきをしないと、歯に白いネバネバしたものが付着します。これが虫歯の原因の一つである「歯垢」です。たった1gの1000分の1の歯垢の中に、1億個以上の細菌がいるといわれています。この細菌のかたまりで酸が作られると、歯のいちばん外側で歯を守っているエナメル質が溶け出していきます。これが虫歯のはじまりです。

虫歯の他にも、生え変わり期特有の歯肉炎があります。この歯肉炎を「萌出性歯肉炎(ほうしゅつせいしにくえん)」といい、その原因は、六歳臼歯や十二歳臼歯など、永久歯の奥歯が生えてくるとき、歯の上に歯肉が被った状態が半年ほど続き、その期間の間は歯と歯茎の境目にハブラシが当たりにくくなります。そして歯垢がたまり、歯肉が炎症を起こしてしまいます。

お子様一人では、上手にキレイに磨くことは難しいかと思うので、親御さんが仕上げ磨きをしてあげる際に、歯と歯茎の境目にハブラシを当ててキチンと磨いてあげると良いでしょう。

生え変わり期と言うのはお口の中が工事をしているようなもので、一生涯、毎日使う大事な永久歯へ生え変わらせるための非常に大切な時期です。しかし、この時期の歯は、乳歯、永久歯ともにまだとても弱いです。お子様自身でで歯を磨くようになっても、小学校低学年頃くらいまでは親御さんが仕上げ磨きをしてあげた方が良いでしょう。

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