サージェリーファースト

歯列矯正治療の一般的なブラケット矯正では、歯にブラケットという装置を装着してワイヤーと通して引っ張ることで、歯を少しずつ動かしていきます。そのため、骨格が原因で不正咬合(悪い歯並び)になっている場合(顎変形症)は、装置を用いても根本的な改善ができないため、治療がうまくいかない場合があります。しかし、サージェリーファーストは顎の骨を手術で変化させていくため、骨格が原因の不正咬合でも治療をおこなうことができます。従来のブラケット矯正やマウスピース型矯正などでは治療が難しいと診断されていた方も、治療の可能性があるのがサージェリーファーストなのです。また、サージェリーファーストは名前の通り、外科手術を先におこなってから歯列矯正をおこないます。しかし、難易度は極めて高いため、矯正歯科であっても大学病院等の口腔外科との連携がなければ扱えない矯正方法です。

サージェリーファーストのメリット

治療期間の短縮

サージェリーファーストは、外科手術によって顎の骨格の問題を解決してから歯列を整えるため、治療期間を短縮することができます。従来のブラケット矯正治療に比べて、平均して50%の治療期間の短縮が可能です。ブラケット矯正治療では2年かかる場合も、サージェリーファーストでは1年で治療が終わります。治療期間の短縮を希望される方には、良い治療法といえます。

コンプレックスを解消できる

顎変形症による不正咬合の方は、口元や、顔の輪郭、横顔といった見た目にコンプレックスを感じている場合が多くいらっしゃいます。サージェリーファーストは、骨格にアプローチすることができるため、見た目のコンプレックスを解消することに繋がります。

噛み合わせが改善される

顎変形症のために噛み合わせが悪い場合に、サージェリーファーストによって骨格の問題が解決されるため、噛み合わせが改善されます。そのため、しっかりと食べ物を噛むことができるようになるため、胃腸などの消化器官の負担を軽減することができます。また、噛み合わせが原因で発生していた身体の不調などといったトラブルも解消できる可能性があります。

従来の外科的矯正よりも負担が少ない

従来の外科的矯正では、手術後の顎の位置を想定して歯列矯正治療を先におこなうことが必要でした。そのため、約1~2年以上の矯正期間がかかり、さらに手術後のことを考慮した矯正治療であることから、一時的に噛み合わせの悪い状態になることが避けられず、身体にとって負担は大きいものでした。その点、サージェリーファーストは、矯正治療前に手術をおこない、骨格の問題を改善してから歯並びを矯正治療で改善するため、噛み合わせも徐々に改善します。悪い噛み合わせによる身体に及ぶ影響を考えても、サージェリーファーストは負担が少ない方法といえます。

サージェリーファーストのデメリット

診断・治療のために高度な技術が必要

サージェリーファーストは通常の矯正治療とは違い、高度な技術や豊富な知識、高度な設備の設置や機器の導入など、治療をおこなうための十分な環境が必要となるため、どの歯科医院でもおこなうことができる治療法ではありません。

費用が高額になる

サージェリーファーストは保険適用外治療(自由診療)となるため、治療費が高額になる場合があります。(顎周囲の怪我や変形によるものは保険対象となることがあります)

手術後は噛み合わせが不安定になる

サージェリーファーストは、外科手術後に噛み合わせが不安定になります。咀嚼機能が低下してしまうため、毎日の食事を工夫する必要がありますが、治療前に知っておくことで対策が可能です。

サージェリーファーストの術式

上顎骨切り術(lefort Ⅰ型骨切り術)

顎の変形が上顎にある場合に、歯の生えている上顎部分を移動させる術式です。上下の顎の大きさの差が著しい場合におこなうこともあります。

上顎前方歯槽部骨切り術(Wassmund法)

上顎が前方に出ている場合に、側方の歯を抜歯することでスペース作って骨切りし、前方の骨を後方に移動させる術式です。

下顎骨切り術

顎骨の変形が主に下顎にみられる場合におこなう術式です。下顎を小さくする場合と大きくする場合があります。

下顎枝矢状分割術(SSRO)

神経を内側に温存して両側の下顎枝を内外側に分割して、内側の歯列の骨を後方あるいは前方へ移動して固定します。その際、チタン製の金属プレートを固定する材料として用いますが、抜去手術が必要ない吸収性プレートを使用する場合もあります。

下顎枝垂直骨切り術(IVRO)

両側の下顎枝を骨に入る神経の後方で垂直に分割して、下顎を後方に移動する方法です。移動が小さい症例に適応できます。この方法では固定はおこないません。

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