矯正歯科治療のリスク

矯正歯科治療のリスク

矯正歯科治療のメリットは口元がキレイになることで、審美的なメリットが挙げられます。また、歯並びがきれいになることで、歯磨きがしやすくなり、虫歯や歯周病に対し、抵抗力のある歯になれます。

その他にも噛み合わせが改善されることで、食べ物が噛みやすくなったり、滑舌がよくなるとメリットがあります。また、顎の関節と歯の並びには深い関係があり、噛み合わせが悪いと顎関節症をも引き起こす可能性があります。歯並びは身体の健康にダイレクトに関係しているため、矯正歯科治療を行うことで、見た目も改善されるほか、身体の健康にも良い影響を及ぼします。

しかし、矯正歯科治療にもリスクは存在します。

矯正歯科治療は、矯正装置を装着した最初の頃は痛みを感じます。また食事をする際や言葉を発するときに発音に違和感を感じたり、顎の筋肉や顎関節に違和感が出ることがあります。違和感に関しては一時的なもので、数日もすれば慣れてくるものですが、痛みに関しては個人差があり、違和感や痛みなどの不快事項が極めて強く持続する場合、治療を継続できないことがあります。

また、顎の痛みや、顎を動かした時に関節に違和感を感じたり、口周りの筋肉の緊張や、開口障害、めまいや頭痛、耳の痛みなどが、治療中または治療後に起こる可能性があります。これらの症状と矯正治療との因果関係ははっきりしておらず、歯科的治療をしていない人でも症状が出たり消えたり繰り返されるものですが、噛み合わせに対して特に敏感な方は起こりやすのかもしれません。これらのような不快事項が極めて強い場合は、専門医による処置が必要になったり、矯正治療を継続できなかったりすることがあります。

矯正歯科治療で使用する装置は、精密で小さな部品から成り立っています。そのため、突発的に飲み込んでしまったり、器官に吸い込んだりする事故を引き起こす可能性があるため、装置がゆるんだり壊れたりした場合はすぐに歯医者に連絡をしていただく必要があります。

矯正治療の結果というのは保証されたものではなく、患者様の努力が結果の大きく繋がります。それは定期的な通院や口腔ケア、矯正装置の使用等において患者さんの協力が得られないと、治療の中断や延長を余議なくされる場合があります。

また矯正治療の期間は年単位の治療となります。よって長期にわたる矯正装置の装着が歯の磨き残しを蓄積してしまい、う蝕(うしょく)や、歯肉炎、歯周炎のリスクが生まれます。歯科器材や矯正材料、矯正装置によって歯茎や頬粘膜に炎症や損傷が起きる可能性もあります。さらに歯磨きがきちんと出来ていなかったり、適切な頻度でされなかった場合でも、歯茎の腫れや感染・炎症などが起こる可能性があります。また、顎骨の成長予測は難しく、判断を誤ってしまったり、予想外の成長発育が起こった場合には、治療期間が長くなることがあります。成長発育の量や歯の動く方向、および時期を常に考慮しながらの治療が必要となります。

矯正装置の種類もいくつかあり、矯正歯科治療を行う際には、歯の症状に適切な矯正装置のものでなければなりません。この判断を誤ってしまうと計画どおりに歯の移動をコントロールできず、結果として治療期間が長くなり、歯にう蝕や、歯肉炎、歯周炎といった負担をかけてしまいます。

また歯の移動に伴い、多かれ少なかれ歯根吸収が起こる可能性があります。歯根吸収とは歯根部分の歯質が溶けて抜けやすくなることで、これは通常、問題になることはありませんが、特別極端な歯根吸収が起こった場合は歯の喪失につながります。その他にも歯が移動することで、ごく稀に歯髄壊死(しずいえし)が起こる可能性があります。歯髄壊死とは、虫歯や外傷によって神経と血管を含む歯随が壊死してしまうことです。壊死を起こした歯の神経は根管処置、その後補綴処置が必要になります。

矯正装置の種類

矯正歯科治療にあたって矯正装置をまず選択していくのですが、一口に矯正装置といっても矯正装置は複数あり、また噛み合わせに適した装置を選ぶことが大切です。

矯正装置は大きく4つに分類することができ、歯の表側に装置をつけて治療する方法、歯の裏側に装置をつけて治療する方法、マウスピース型矯正装置を使って治療していく方法、小児用の着脱式装置とあります。

まず一つ目の、歯の表側につける装置ですがこれにも3種類あり、そのうちの一つに「メタルブラケット」という装置があります。これは金属のワイヤーを使用した矯正装置で薄くて丈夫であり、さまざま噛み合わせに適用する装置です。銀色のワイヤーなため装置が目立ち、金属アレルギーの方には適用することが出来ないというデメリットがありますが、様々な噛みあわせに適用するので、見た目にこだわりがなく、治療費や通院回数を抑えたい方にオススメの装置です。

そして「クリアブラケット」という、これも歯の表側につける装置で、先ほど紹介したメタルブラケットの透明なプラスチック版と考えていただいて問題ありません。透明なプラスチックで出来ているため装着してもほとんど目立つことはありません。プラスチックは歯よりも柔らかいため、矯正治療中に健康な歯を痛めることはありませんが、時間の経過と共に装置が変色する事があり、時に装置が破損してしまう場合があります。

クリアブラケットの他に、「セラミックブラケット」というのもあります。セラミックでできた矯正装置で歯の色に極めて近いので、歯に馴染みがよく、審美性にも優れています。また、金属を一切使用していないので金属アレルギーの方にも安心してご使用して頂くことができます。しかしメタルブラケットと比べると、装置の厚みが多少あります。

そして二つ目の歯の裏側につける装置を「リンガルブラケット矯正装置」と言い、「裏側矯正」とも呼ばれています。これは歯の裏側につける装置で、目立ちにくく、審美性に優れている装置です。しかし患者様毎に装置の作製が必要となり、オーダーメイドになるため費用が高額になります。

そして三つ目は着脱可能な透明のマウスピースを使う矯正治療「マウスピース型矯正装置」というのがあります。これは着脱式のマウスピースを用いて不正咬合を治療していきます。マウスピースは透明の装置なので目立ちにくく、装置を取り外して自由に食事や歯磨きが出来ます。また金属を使用していないため金属アレルギーの方でも使用していただけます。しかし装置を指示通りの時間装着しないと歯が動かず、矯正治療の期間が延びたり最悪失敗という場合があります。これは患者様の努力が必要不可欠になってきます。

最後に3歳のお子様から使用できる「歯列矯正用咬合誘導装置」というものがあり「ムーシールド」とも呼ばれています。これは、お口の周りの筋肉の不調を整え、正常な筋機能に導くことで正常な噛みあわせに誘導していきます。口の中にはめている程効果がある装置ですが、お子様の負担を最小限にしていくのであれば就寝時にだけ装着することをおすすめしています。

歯や顎の大きさや形は人によって様々です。健康、且つ理想的な歯並びを得るためも、歯並びでお悩みの方は信頼のおける、大分県の歯医者に相談されてみてはいかがでしょうか。

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