健康保険が適用される症状

一般的には、歯列矯正は自由診療のため保険が適用されず、費用が高額になるというイメージを抱かれている方も多いのではないでしょうか。しかし、歯並びを美しく整えたいという審美目的などではなく、顎変形症(がくへんけいしょう)という、顎の骨の形や大きさ、位置の異常を起こしている場合の治療には保険が適用されます。

顎変形症とは、歯を支えている上顎の骨、または下顎の骨、あるいはその両方の大きさや形態、歯列の幅、位置などの不調和によって、顔面が変形し、噛み合わせの異常(不正咬合)を起こしている状態を言います。これは生まれつきの先天性ものと、生後に生じた後天性のものがあり、ほとんどは原因不明です。子供の頃の口腔習癖(指しゃぶりや舌の突出癖など)も顎変形症を引き起こしてしまう原因の一つとも言われております。多くは顎の成長のアンバランスによるものと考えられ、小児期では異常に気付かないことが多く、思春期の時期に顎が急成長することで症状が明らかになることが多いです。顎変形症では、骨の形の異常が原因で、うまく噛めない、うまく発音出来ないという日常生活に支障をきたす病気として扱われるため、歯列矯正でも保険が適用されるのです。

顎変形症の症状と治療

顎変形症の中で、比較的頻度の高いものとしてまず一つ目に、「下顎前突症」というものがあります。下顎前突症とは、上顎の骨に対し、下顎の骨が前方へ突出した状態で、俗にいう「受け口」と呼ばれている症状のことを言います。

下顎前突症は下顎骨の過剰な成長によって起こり、12歳~15歳頃に下顎の突出が目立ってくるケースが多くみられます。

下顎の骨の突出が強い場合には、奥歯の数本しか噛み合っていないため、麺類などは舌を使わないと噛み切ることが出来ず、また言葉を喋る時にも、特有の話し方になります。

軽度の下顎前突症であれば、矯正歯科治療のみでの噛み合わせの改善を図るという選択肢もありますが、下顎前突の多くは骨切り術という外科手術の対象になります。正常な噛み合わせと綺麗な歯並びにするために、顎をどの程度移動すべきかを、形成外科医と矯正歯科医とが相談して決定します。手術前の矯正治療には1~2年の期間を要します。

二つ目は「上顎前突症」という症状です。上顎前突症とは、下顎の骨に対し、上顎の骨が前方へ突出した状態で、俗にいう「出っ歯」と呼ばれているものになります。

上顎前突症は上顎の骨の過剰な成長によって起こる変形で、指しゃぶりや爪噛みの口腔習癖などが原因となる可能性も指摘されていますが、ほとんどは原因不明です。上顎の前歯部分だけが下顎に対して突出した場合と、上顎骨が全体的に突出している場合と2パターンあります。上顎の前歯は強く傾斜して前方へ突き出しているため、唇が閉じにくく、意識的に閉じないとポカーンと口が開いた状態になります。また唇を無理に閉じようとするため、梅干しのようなシワが見られ、下唇は上顎の前歯にあたって捲れてしまいます。また、笑うった時に歯ぐきが剥きだしになるため、ガミースマイルとも呼ばれます。

軽度の上顎前突症では、矯正歯科治療で前歯突出の矯正治療を行います。しかし上顎の骨全体が突き出てしまっている場合には、上顎骨を後方に移動させ、金属などのプレートで固定します。この手術では手術の前後に矯正歯科治療による歯並びの矯正が必要で、さらに骨切りの手術には2週間前後の入院が必要です。

そして三つ目は、「両顎前突症」と言われる症状で、両顎前突症とは、上顎の骨と下顎の骨の歯が前方へ突き出した状態を言います。

この変形は歯と歯を支える歯槽骨の変形と考えられます。東洋人や黒人に多くみられ、日本人でもよく見られる変形のパターンです。顎の骨に対して歯が大きいことが前歯突出の原因の一つとも考えられます。前歯の傾きが強く、上顎と下顎の前歯のなす角度が小さいのことが特徴です。口元が突き出ており、いわゆる“出っ歯”に似た変形となります。口元が突き出ていることが原因で相対的に鼻は低く見え、また、下顎の先端であるオトガイ部と呼ばれる部分も後退して見えます。また、前歯が突き出ているため、口は閉じにくく、意識して口を閉じようとするため、オトガイ部には梅干しのようなシワが見られます。

両顎前突症の治療には、矯正歯科的な治療と手術療法の2つがあります。軽度の突出は矯正治療で歯を抜かない方法の治療が行われます。しかし、前歯の突出が明らかな場合は、矯正歯科治療と手術療法に関わらず、側方の歯を抜いて前歯部を後方に移動させます。手術では抜歯した部分の骨を切除し、前歯部分を後方に移動します。手術の利点は抜歯も含めて一回で後方移動が行われるため短期間で治療が終わることや、前歯部分の移動方向を自由に決めることが出来るという点です。しかし、全身麻酔での手術と入院が必要となり、手術後に矯正治療を行うこともあります。

保険が適用されるための条件

一つ目は、厚生労働省指定の医療機関で治療を受けることが条件とされます。保険で歯の矯正治療を受けるためには、「健康保険適用の矯正治療ができる施設」と厚生労働省より認定を受けた指定自立支援医療機関と呼ばれる医療機関である必要があります。

そして二つ目は、矯正装置が限定されます。保険を適用して行う歯の矯正治療では、歯の裏側につける装置や、透明なワイヤー、あるいはマウスピース矯正装置など、「目立たない矯正」と言われている矯正装置は使用することができません。しかし、医療機関によっては歯の表面につけるブラケットは金属のみ、というところやプラスチックなら可能という医療機関もありますので、事前に確認が必要です。

歯列矯正に保険が適用されることで、通常の矯正治療費の半額、またはそれ以下になるという点は非常に魅力的かと思います。まずは保険が適用される「顎変形症であるかどうか」の診断を受ける必要があります。出っ歯や受け口などで悩まれている方は一度、保険適用となる大分県の矯正歯科で「顎変形症であるかどうか」検査を受けてみてはいかがでしょうか。

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