舌癌

舌ガンとは、その名の通り、「舌に発生するガン」のことを言います。口腔内にできるガンのことを「口腔ガン」と言い、その種類は「舌ガン」「歯肉ガン」「口腔底ガン」「頬粘膜ガン」などがあります。その中でも舌ガンは50〜60%を占め、最も発症頻度の高い癌と言われています。舌がんは舌の先端にできることはあまりなく、舌の側面に発症することが多いため、割と早期に発見しやすいのですが、口内炎と勘違いしてしまう方もおられ、気づいた頃には転移してしまってるケースもあります。

舌ガンの原因

舌ガンの原因は明らかにはなっていませんが、リスク因子は飲酒や喫煙と言われています。舌がんの場合、お酒やタバコの煙が舌を通ることで、ガンが発生しやすくなると考えられており、食道ガンを併発しているケースもあります。舌ガンは飲酒や喫煙期間がさほど長くない20代の方でも発症するという特徴を持っており、このような場合には何か他の原因があるとみられており、原因は不明です。歯が内側へと傾いている場合、舌に当たってしまうことが慢性的な刺激となりガンの原因であるとも考えられています。

舌ガンの診断

口腔内の病気には、白斑症や口内炎・難治性潰瘍などの類似疾患も多いため、病気の部分の組織診断が必要です。しこりの一部を切除して検査をする場合は、しこりの一部をこすったり、針を刺して採取する方法で診断を行います。しこりが小さな場合には、しこり全てを切り取り、診断と治療を同時に行うケースも少なくありません。舌ガンと診断がついた後に、病変の根の深さや広がりの程度を正確に診断するため、CTやMRIなどの画像検査を行い、治療方針を検討します。

舌ガン治療

舌がんの治療は、主に手術療法と放射線治療があり、抗癌剤による化学療法もこれらと組み合わせで行われることがあります。
手術で切除しなければならない範囲は、画像検査から判断します。切除する範囲によって、術後の障害や後遺症が異なります。

舌部分切除術

癌が小さく浅い場合、舌の一部分を切除してガンの摘出を行います。切除範囲が小さければ、局所麻酔を行い、日帰り手術や数日の入院で手術が可能です。舌の変形が多少残りますが、嚥下や構音などの機能障害はほとんど残らず、味覚障害もないでしょう。

舌半切除術

ガンが舌の真ん中付近まで広がっている場合、舌を半分切除してガンの摘出を行います。多くの場合、舌のなくなった部分をさまざまな方法で再建することにより、術後の機能障害を最小限に抑えることが可能です。手術後は1週間ほど経口摂取を禁止して流動食や点滴による栄養管理を行います。舌の切除範囲が半分程であれば、嚥下や構音などの機能障害は日常生活に支障をきたさない程度で味覚障害もないでしょう。

舌亜全摘出術

ガンが舌の半分以上まで進行してしまうと、舌を半分以上切除してガンの摘出を行わなければなりません。舌がなくなった部分を再建したとしても、術後の機能障害は大きく異なります。手術後はやはり1週間は口から食事を取ることを禁止して流動食や点滴による栄養管理を行い、その後、嚥下練習を行います。口からの食事だけで十分な栄養が取れるようになるには1~2ヶ月かかる場合も少なくありません。味覚障害はないものの、嚥下や構音機能の障害は避けられないでしょう。

また残っている舌が少ししかない場合、上下の歯の間にはさまれた食物をうまく支えることができなくなるため、歯があっても十分な咀嚼が出来ず、上手く飲み込めずに食物が喉頭から気管に誤嚥しやすい場合もあります。

舌全摘出術

ガンが舌の真ん中を越えて反対側まで進行した段階までくると、安全に残せる舌の部分がなくなってしまい、舌を全部摘出せざるを得なくなることがあります。大きな機能障害が残り、術後は縫合部が落ち着くまで、流動食や点滴による栄養管理を行い、約1~2ヶ月ほどかけて食事から栄養が摂れるようになるでしょう。味覚は残りますが、食べ物はスプーンなどでのどまで送り飲み込む必要があり、誤嚥に対する対策を行っても完全に防止することは難しいでしょう。

外照射

体の外から放射線を当てるライナックと呼ばれる治療で、舌の形はそのまま残ります。1日1回の照射を約25~30回前後に分割して行い、所要時間は数分です。口腔内が照射野に入る場合がほとんどなため、口内炎や味覚障害、口腔の痛みを感じてしまい、休みを必要とする場合もあります。後遺症として、唾液の分泌障害が起こり口腔の乾燥が残るでしょう。それだけでなく、下顎骨にも照射が行われるため、晩発性の障害として下顎骨の壊死や、骨髄炎などが起こる可能性があります。

動脈内化学療法

舌ガンに血液を供給している動脈に抗がん剤を注入する治療法です。これは放射線治療の補助的治療法なので、治療期間は決して短くはありません。また副作用や後遺症は放射線単独治療よりも強いのが欠点ですが、治療効果を高めることで、手術を回避できる可能性もあるでしょう。

舌ガンを早期発見するために

舌は、会話や味を感じたり日常生活の基本動作において大切な臓器の一つです。舌ガンは鏡を見て気付くことができるため、多くの方は割と早い時期に異常を察知し医療機関へ行けます。舌ガンは口内炎と勘違いされやすいですが、口内炎は1週間から、長くても10日程度で治ります。2週間以上治らないときは舌ガンを疑って口腔外科、もしくは耳鼻咽喉科を受診された方がいいでしょう。

また、舌や歯肉、頬の粘膜などに白斑がある場合も注意した方がいいでしょう。口腔ガンになる一歩手前の状態で「白板症(はくばんしょう)」という、白斑のように色素が白くなる段階があるのですが、これに赤色が混ざってくるとガンが疑われます。赤斑ができる「紅板症(こうばんしょう)」は、約50%の確率でガンになってしまう恐れがあります。

このほかにも舌の出血、しびれ、麻痺、しこり、潰瘍、強い口臭、顎が腫れて入れ歯が合わなくなり物が噛みづらい、舌が動かしにくいなどの症状に気付いたらすみやかに医療機関を受診されることをおすすめします。

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