フッ素とは

フッ素って何?

「フッ素」という言葉を日常的に目にしたり、聞いたりしたことはないでしょうか?フッ素とは地球上に広く存在している自然のものであり、地球の地殻で17番目に多い元素です。人の体の中はもちろん、地殻・海水・河川・植物・動物など、あらゆるものに必ず含まれており、また海産物や農作物にも様々な濃度のフッ素が含まれているため、私たちは毎日の食生活の中で自然とフッ素を体の中に取り込んでいます。フッ素が含まれていない飲食物は地球上に存在しないほど身近なもので、成人の場合、必須栄養素として1日3mg必要とされています。またフッ素を利用することで虫歯の発生を防ぐことが出来ます。さらに、虫歯予防に欠かせないだけでなく、丈夫な歯や骨をつくるために大切な役割を果たしています。

フッ素と虫歯予防の関係性

むし歯予防には3つの作用があり、まず一つに、歯から溶け出したカルシウムやリンの再沈着を促進する「再石灰化の促進」という作用があります。フッ素が虫歯になりかけた部分へのミネラルの取り込みを助け、歯の回復(再石灰化)を促進します。

そして二つ目に「歯質強化」です。フッ素が歯のエナメル質や象牙質に取り込まれて、強い結晶構造をつくることで、歯を強くし酸に溶けにくくします。

さらに三つ目は「細菌の抑制」というので、フッ素の抗菌力により、歯ブラシで落としきれなかった歯垢(プラーク)の中に潜んでいる虫歯の原因菌のひとつであるミュータンス菌の働きを弱め、酸が作られるのを抑制する作用があります。

フッ素を使った予防方法

フッ素を使った虫歯の予防方法などをご紹介したいと思います。

まず一つ目に、「フッ素が配合された歯磨き剤」です。

歯磨きをする度に使用すると、磨いている間の効果からさらに加え、歯磨きをした後で、口の中の歯や粘膜に残ったフッ素が少しずつ唾液に混ざり、効果を発揮し続けます。フッ素が配合された歯磨き剤かどうかを見分けるには、歯磨き剤の裏面などに記載されている成分表を見てみましょう。薬用成分の欄に「フッ化ナトリウム」、「モノフルオロリン酸ナトリウム」、「フッ化第一スズ」のいずれかが記載してあればフッ化物配合の歯磨き剤です。また、濃度も歯磨き剤選びのポイントとして大切です。ポイントは「フッ化ナトリウムとして900ppm」、「キシリトール25%以上配合」「研磨剤・発泡剤が無配合」が挙げられますが、今ご自宅などで使用されている歯磨き剤は、いかがでしょうか?市販されているものの中には、いかにもなことが書いてあっても、フッ素がまったく配合されていない、ただの食品レベルのものがたくさんあります。

虫歯予防のためと思って使用していても、それがまったく効果がなかったら無意味です。また、正しい量で正しい使い方をしないと、本当の意味で虫歯予防にはなりません。

虫歯予防の効果を高めるためには、長い時間フッ素が口の中にとどまっていることが大切です。歯磨き剤の使用量や、磨き終わった後のうがいの方法にも気を付けると良いでしょう。フッ素の安全性については、あくまでも過剰摂取が問題となるので、決められた使用方法を守っていただければ問題はありませが、過量に摂取すると害を生じます。歯磨き剤の量は成人の場合約1~2cm程度にし、歯磨きの後のうがいは5~15mlの水で5秒程度行い、回数は1回程度にとどめた方が良いでしょう。

また、フッ素配合歯磨き剤は年齢別に使用する量の目安も変わってきます。生後6ヶ月から2歳頃までであれば、切った爪程度の少量を歯ブラシにつけていただき、仕上げ磨きの時に親御さんが行うといいです。また、3歳から5歳頃になれば5mm以下の量にとどめていただき、6歳から14歳頃であれば、1cm程度の量が望ましいです。いずれも就寝前が効果的です。

そして二つ目に「フッ素洗口」というものがあります。これは4歳以上から適応しており、フッ素洗口液でブクブクとうがいをする方法です。家庭や幼稚園・保育園では1日1回、小・中学校では1週間に1回が推奨されており、継続して使用することで予防効果が高まります。このフッ素洗口液はクリニックから入手するか、要指導医薬品取扱店で購入することができます。

三つ目に「フッ素塗布」というものがあります。これはクリニックなどでフッ素を歯に直接塗る方法です。1歳半頃から行うことができ、生えたての歯は歯の質が弱いので、特に効果的です。年に数回クリニックにて、フッ素塗布を受けることが推奨されます。しかしフッ素塗布について、誤解されている方がたくさんいらっしゃるのが事実です。フッ素塗布という処置には、塗布方法や使用するフッ化物の濃度であったり、親御さんのフッ素塗布に対する誤解など、様々な問題あります。

フッ素塗布で一番重要なことは、歯の表面に付いている汚れはしっかり除去してから処置を行うということです。 歯垢は当然除去し、厳密に言えば歯の表面についた唾液も除去して処置を行います。唾液まで除去する理由は、歯に唾液がつくと、表面に「ペリクル」という膜ができてしまい、この膜が歯にフッ素が浸透するのを阻害してしまうのです。フッ素塗布は、歯をしっかり乾燥させた状態で、塗布し続けなければなりません。そして塗布時間は全部の歯の場合3~5分間塗り続ける必要があります。

お子さんの虫歯になりやすさよって、推奨されるフッ素の利用方法は異なりますが、やはり適正濃度のフッ素を毎日ご家庭で使用することが一番効果的であると考えます。フッ素の濃度を考慮し、正しい方法で使用するのが、虫歯予防には大切です。

おすすめの記事