外科矯正のメリットとデメリット

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外科矯正とは、外科的手術を伴う矯正治療法で、骨格性不正咬合など顎の骨に異常がある場合に適応されます。正確には「外科的矯正治療」という名称がありますが、外科矯正と省略して呼ばれることが多いようです。あまり聞いたことがない手術や治療法に思われがちですが、専門医の試験項目に入るほど、比較的ポピュラーな手術と考えられています。「手術」と聞くと痛みや術後に痕が残る不安などがよぎり、構えてしまう人も多いのではないでしょうか。今回はメリット・デメリットを含めた外科矯正についてご紹介します。

Contents

外科矯正とは

外科矯正はサージェリーファーストとも呼ばれ、近年進歩してきた矯正治療法です。外科矯正は歯並びだけが問題ではなく、上下の顎の骨の位置がずれていたり、大きさやバランスが悪く、矯正歯科治療単独では改善が困難な場合に行う矯正法のことで、顎骨の手術を併用して、噛み合わせを改善する治療を行います。主に上顎と下顎の骨の位置や形、大きさが原因で顔面が変形している「顎変形症(がくへんけいしょう)」や、顎そのものの問題による不正咬合は、歯列矯正のみで改善することは難しく、症状の多くは骨格的な改善が必要になるため、外科手術と歯列矯正を併用した外科矯正を行います。

顎の矯正手術は最初から行うわけではなく、手術前に顎をずらした際に噛み合わせが安定するようにマルチブラケット装置を用いて歯を並べる「術前矯正治療」というものが行われます。そして手術日程を決め、手術が行われた後は、後戻りという現象を防ぎながら噛み合わせを落ち着かせる術後矯正治療という流れになります。外科矯正の難易度は極めて高く、矯正歯科であっても大学病院等の口腔外科との連携がなければ扱えない矯正治療法です。

外科矯正が必要な症状

下顎前突症(かがくぜんとつしょう)

顎変形症の約7割がこの下顎前突症と言われており、受け口や下顎が出ていて顎がしゃくれているなどの症状が、この下顎前突症に値します。

上顎前突症(じょうがくぜんとつしょう)

上顎の前歯が前に突出している、所謂「出っ歯」といわれる症状であったり、下顎が小さいため上顎が前に出ている場合があります。上顎前突症の人は、笑うと歯茎が目立つガミースマイルの人も多くいます。

下顎後退症(かがくこうたいしょう)

下顎が極端に小さく、口元が飛び出ているように見えるのが下顎後退症です。

上顎後退症(じょうがくこうたいしょう)

上顎が下顎に対して小さく、上顎がくぼんだように見えます。下顎の歯列が上顎の歯列よりも前で噛み合うのが特徴的です。

開咬症(かいこうしょう)

奥歯は上下の歯がくっついた状態でも、上下の前歯がくっつかない症状が開咬症です。前からみると舌が見えたり、前歯が閉じず、常に隙間があります。

顔面非対称症

アゴが左右対称ではなく、顔面が歪んだり曲がっている状態です。

外科矯正のメリット・デメリット

【メリット】

顎の骨格自体に問題があり、歯並びが悪い場合は、歯列矯正のみの治療では限界があり、治療が長期に渡ることがあります。外科手術を取り入れ、顎の骨格の問題を解決してから歯列矯正を行うことで治療期間は大幅に短縮されます。
また顎の骨格に問題があると、機能的な面に加え、日々の生活上の悩みだけではなく横顔や輪郭にコンプレックスを感じることが多くあります。外科手術で骨格の問題を改善することで、見た目の問題を早期に解決することができ、コンプレックスが解消され、ストレスも軽減されることが期待できます。

さらに噛み合わせが改善されることによって、食べ物をしっかり噛めるようになり、しっかり咀嚼を行えるようになるため、消化器官にもいい影響を与えます。これは全ての矯正治療において噛み合わせの改善については言えることですが、特に顎の骨格が原因で噛み合わせに問題がある場合には、食生活が改善するというとても大切な変化を実感出来ることが多いです。

費用に関しては、矯正歯科治療は自由診療のため保険は適用されませんが、顎変形症の治療の場合は保険が適用されるため費用が抑えられます。しかし全ての矯正歯科で保険が適用されるわけではなく、条件を満たした場合に適応となるため、治療を受ける前に確認されることをオススメします。

【デメリット】

一般的に矯正歯科治療では入院が必要な場合はほとんどありませんが、外科矯正は大掛かりな外科手術が必要なため、1~3週間程度の入院が必要となることが多いです。また入院前には検査のための通院も必要になり、入院をしてから術後の回復までには時間を要します。手術には全身麻酔が行われ、手術後は部分的な麻痺や痺れが出たり、鼻の変形がある場合もあります。術後しばらくは、口が開きにくく、食事がしにくかったり、会話がしにくいなどのストレスを感じることがあるでしょう。通常の食事ができるようになるまで、だいたい1ヶ月くらいかかり、手術して間もない頃は、刺激の少ないお粥やゼリー状の食べ物など、柔らかい食べ物を選ぶ必要があります。口を開けられるようになるまで、少しずつリハビリを行う必要もあったりと、生活に支障が出る可能性が大いにあるため、手術を受ける前に担当医にしっかり相談しておくといいでしょう。

口元にコンプレックスを持っていても、手術に対する不安や治療期間が長い場合、なかなか最初の一歩を踏み出せない方が多いと言われています。しかし、口元の印象が大きく変わり、自分に自信がもてるようになることで、見た目だけでなく、性格も明るくなるなど、さまざまな面でプラスに働くことが多いです。歯並びが気になっている方は、一度大分県の歯科医院に相談されてみてはいかがでしょうか。

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